小説「多忙な株式仲買人のロマンス」(著:O・ヘンリー|訳:芹澤恵)を読みました。
あらすじ、ネタバレを含む感想を載せます。
この記事の読者の想定は下記の通りです。
- 小説「多忙な株式仲買人のロマンス」のあらすじを読みたい
- 小説「多忙な株式仲買人のロマンス」のネタバレを読みたい
- 小説「多忙な株式仲買人のロマンス」の感想を読みたい
上記の内1つでも当てはまる方は、是非お読み下さい。
Contents
未だ読了していない方向け
小説「多忙な株式仲買人のロマンス」のあらすじ
―株式仲買人「ハーヴェイ・マクスウェル」。
“仕事馬鹿”が進んでる彼は、速記者である「レズリー」に気がある。
ある日のこと。仕事が立て込んでおり、猛烈に忙しいハーヴェイだったが、
ほのかに甘いライラックの香りに我に返り、行動に移る…!?
ハーヴェイの告白は成功するのか…?―
小説「多忙な株式仲買人のロマンス」はどのような方にお勧めか?
下記の内、いずれか1つでも当てはまる方にお勧めします。
- 短編小説が好き
- ロマンスものが好き
- O・ヘンリー作品が好き
- ユーモアに富む表現を含む作品が好き
逆に、骨太な物語しか求めてない方は非推奨です(短編小説ですので)。
本記事の以降の内容は、本編読了してからご覧になることをお勧めします。

アマゾンプライムReadingを活用する等も安く読めるのでお勧めです。
上記既に読了した方向け
小説「多忙な株式仲買人のロマンス」のネタバレ
ハーヴェイは告白するも、レズリーに「昨夜八時にあの〈角の小さな教会〉で結婚した」ことを気付かされる(※1)。
※1:ピッチャーはハーヴェイについて「”仕事馬鹿”が進行」していること、「日常のあれこれを忘れっぽくなっているようだ」ということを経理担当者にこぼしている。
小説「多忙な株式仲買人のロマンス」の感想
率直な感想
面白かった!全体的に!
アンハッピーエンドでなくて良かった!
結婚を失念
自分が結婚したこと忘れるなよハーヴェイ(笑)
一般的に見て「自分が結婚してたことを忘れる」なんて有り得ないからな?w
挙式あげるまで、諸々の手回しや決めなきゃいけないこと(場所の確保に始まり、何席確保し誰をどこに座らせる、挙式の段取りどうする(映像等が必要ならその準備どうするか)、振る舞うメニューどうする(参席者のアレルギーあるかないか)、当日の受付誰に依頼する他諸々)あると思う(※1)のだが、式を挙げたことが頭からすっぽ抜けてプロポーズするって相当多忙だよなぁ…w
「多忙過ぎる周り、他の全てが考えられなくなる」っていうのは正直わかる。
脳味噌フル稼働させて全神経を業務に注いでるからこそだろうなぁ。
凄い。
そしてシュール。w
※1:印象と想像で言ってるので日本内でも実態にあってないところや、日本内で実態にあってても文化の違いで多少の差異はあるかもしれないのは折込済。
魅力的なレズリー
レズリーの容姿(”速記ではとても表現しきれないよな美貌の持ち主”)、落ち着いた服装(グレイの無地のワンピースにターバン型の黒い清楚な帽子(金剛鸚哥の羽根挿し))、はにかんでいるような表情からは、上品かつ可愛らしい様子の女性が想像できる。
代わりにたつ筈の速記人が居ないことに気付くと率先して従来どおり仕事をしているのも印象いい。
何より、既婚なのにまた求婚してきたハーヴェイに対して、軽くあのように教えてあげられるなんて懐が深い。理解を示してくれてる、素敵な女性だと思う。
苦労人のピッチャー
“仕事馬鹿”が進んでるハーヴェイに振り回されるピッチャー…w
少し可哀想な部分がありつつ、はっきり言わない部分は少し不思議(言えない?言うべき場面もあるなか、ハーヴェイとの間でなにか取り決めがあるとか?)。
振り回されてしまった「銀のハート型のペンダント」
「募集の件で速記者紹介所から見えた方」とピッチャーから紹介に預かった女性、到着して早々にお引き取り願われたんだから不憫だわ。
「銀のハート型のペンダントは憤然と引き上げていった。右に左に威勢よく揺れ動き、持ち主に成り代わって事務所の備品に怒りの体当たりを繰り返しながら」…。(笑)
当人も怒りを顕にして去っていった様子が読んでとれる。
銀のハート型のペンダントは、ハーヴェイに振り回されてしまったわけだね。
極めたりなかった人間学
一節に “仕事が立て込んでいるときの猛烈に忙しいマンハッタンの株式仲買人を見たことのない者は、人間学を極めたとは言い難い”。とある。
人間学…極めたりなかった。w(人間学ってなに?レベル)
総評
全体的には楽しめた。
ユーモアの富んだ表現の数々、解りやすい表現、読みやすい簡潔な物語、どれも好み。
特にその多忙極まりないところからのハーヴェイのレズリーへの求婚の台詞が最高過ぎた。
気持ちを伝えることを尊重しつつ、ユニオン・パシフィックの株価大暴落しかけてる点やたくさんの電話についての言及が秀逸。