この記事の読者の想定は下記の通りです。
- 映画「マイノリティ・リポート」がどんな話だったのか知りたい
- 映画「マイノリティ・リポート」の黒幕を知りたい
- 映画「マイノリティ・リポート」の登場人物達について知りたい
上記の内1つでも当てはまる方は、是非お読み下さい。
はじめに
■未だ観賞していない方向け
├ 「お勧め」か「お勧めでない」か
├ キャスト
├ あらすじ(※「パッケージ裏」レベル)
├ 予告編
├ 本編
■既に鑑賞した方向け
├ 物語解説(超ざっくり)
├ 物語解説(丁寧め)
├ 考察
未だ観賞していない方向け
「お勧め」か「お勧めでない」か
個人的には「お勧め」します。
※先入観なく観たい方に配慮して、理由はここでは伏せます。
キャスト
主演:トム・クルーズ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
舞台:近未来SF映画 / 2054年のアメリカ・ワシントンD.C.
あらすじ(※「パッケージ裏」レベル)
―ときは2054年、舞台はアメリカ、ワシントンDC。
主人公「ジョン・アンダートン」(トム・クルーズ)は、「犯罪予防局」に勤めている、役職はチーフ。
「犯罪予防局」とは、予知能力者「プリコグ」によって犯罪を予知し、予知した犯罪を(犯罪予防局員が実力を行使して)防止することを目的とした局である。
「ジョン・アンダートン」や犯罪予防局らは普段通り、プリコグの予知に従い、「行われる筈だった犯罪」を未然に防止し、「検挙」していっていた。
あるとき、予知能力者が予知した犯罪の容疑者は「ジョン・アンダートン」だった―
予告編
本編
下記の記事よりVODの無料体験期間を活用することで、無料で観られます。
既に観賞した方向け
物語解説(超ざっくり)
主人公のジョン・アンダートンは、犯罪予防局長のラマー・バージェスの秘密(≒アン・ライブリーの一件)に気付きかけた為、ラマー・バージェスにハメられ、囚人となる。
ララ(※ジョン・アンダートンの元妻)がラマー・バージェスの言動の矛盾に気付き、囚人ジョン・アンダートンを助ける。
ジョン・アンダートンは、ラマー・バージェスの悪事を露見させ、ラマー・バージェスは究極の2択を強いられるも、自害を選択した。
犯罪予防システムは廃止、プリコグ(※予知能力者)は解放、囚人も特赦を与えられた(※一部の者は、監視下に置いた)。
時が経ち、ジョン・アンダートンはララとよりを戻し、ララのお腹には子を宿しているのだった。
物語解説(丁寧め)
主人公のジョン・アンダートンは、「犯罪予防局」に勤めている。役職はチーフ。
ジョンの勤める「犯罪予防局」とは、文字通り「犯罪が発生する前に防止」することを目的とした局である。
「どのようにして犯罪が発生する前に防止」するか?
予知能力者「プリコグ」は犯罪を予知することができ、「犯罪が発生する状況」のイメージを脳内に得ることができる。
プリコグの予知に反応し、ボールがアウトプットされる仕組みになっている。
ボールは犯罪の種類によって2種類有り、「ブラウンボール」と「レッドボール」がある。
・ブラウンボール:計画犯罪。犯人となる者が計画犯罪を企てたときにアウトプット(予見)される。特徴としては、アウトプットされてから犯罪が行われるまでの猶予がある。
・レッドボール:衝動的犯罪。犯人となる者が衝動に駆られて犯罪を起こすことが予知されたときにアウトプットされる。特徴としては、ボールがアウトプットされてから犯罪が行われるまでの猶予がない。短い。
「計画犯罪を行おうとすること」が無謀だと誰でも認識でき、計画犯罪を起こす者が出て来なくなったわけです。
至極、当然の流れですね。笑
「犯罪予防局」の局員は、このプロコグの予知のイメージを元に、犯罪が起こる前に現場を突き止め、現場に駆けつけ、犯人を取り押さえる。
あるとき、下記のようなプリコグの予知があった。
・容疑者:「ジョン・アンダートン」
・被害者:「リオ・クロウ」(ジョン・アンダートンにとって、見知らぬ人)
ジョン・アンダートンは予知の内容を目の当たりにして、逃げた。予知が有ったその場から。犯罪予防局から。
ジョン・アンダートンは逃亡しつつ、犯罪予防システムの考案者である「アイリス・ハイネマン」から「マイノリティ・リポート」(少数の報告)の話を聴き、身の潔白を証明する為にマイノリティ・リポートを得ようとする。
アガサからマイノリティ・リポートを得ようとするも、得られなかった(そのようなものは存在しなかった)。
正直、これには驚かされました。笑
“いい意味”でです。
だって、タイトルですよ?
「マイノリティ・リポート」って映画名で、「主人公が冤罪で逃げている」シチュエーション、「身の潔白を証明する唯一の手がかり」として得たキーワードである「マイノリティ・リポート」(少数派の報告)。
「これ(マイノリティ・リポート)を入手すればいいんだな!これで勝つる!」って思うわけですが、まさか無いとは。笑
映画名からミスリードを誘発していたのかと思う次第です。
個人的には「マイノリティ・リポートすげー!」と思うところの1つです。
ジョン・アンダートンはリオ・クロウの元に行くことにした。
アガサは、ジョン・アンダートンを静止するもジョンは跳ね除けた。
リオ・クロウの部屋、布団の上には無数のバラ撒かれた写真があり、写真には被写体が「幼い子」という共通点があった。
バラ撒かれた写真の中には、ショーンの写った写真も有る。
ジョン・アンダートンは、ショーンの写った写真を見つけた。
ジョン・アンダートンは考えを翻し、リオ・クロウを殺害することにする。
予知通り、自分自身がリオ・クロウを殺害することを認めた。
ジョン・アンダートンは、最終的にはリオ・クロウへの殺意を抑え、すんでのところで殺害を踏み止まり、「弁護人を呼ぶ権利」について説明をした。
リオ・クロウは、自分が殺されないことに困惑した、事前に聴いていた話と「ことの流れ」が違うことに焦った。
リオ・クロウはジョン・アンダートンに言った、「金が払われない」「殺してくれ」。
ジョン・アンダートンも、状況が理解できず、困惑した。
結論としては、リオ・クロウは、”黒幕”がジョン・アンダートンに差し向けたダミーであり、ショーンを攫った犯人ではなかった。
黒幕は、囚人リオ・クロウを外に放ち、「約束通りの流れでジョン・アンダートンに殺されれば、家族に金を支払う」とリオ・クロウに唆していたのだ。
ジョン・アンダートンに殺意はなくなっていた。
リオ・クロウが強引にジョン・アンダートンの拳銃で自身を発砲し、弾丸はリオ・クロウの身体を貫き、リオ・クロウは部屋から地面へ落ちた(※地面に叩きつけられている描写自体はなかったが、地上の方からあった女性の悲鳴と、以降の話の流れからはそのように考えるのが自然)。
その「ジョン・アンダートンがリオ・クロウを発砲した景色」は、プリコグの予知したイメージそのままだった。
現場に駆けつけた”司法省のアホ”こと「ダニー・ウィットワー」は、証拠過剰の現場から黒幕の存在に気付く。
ダニー・ウィットワーは、犯罪予防システムの欠陥にも気付いていて、黒幕が「高官クラスの誰か」だとラマー・バージェスに報告した(※この時点で、ダニー・ウィットワーは黒幕がラマー・バージェスである可能性を考えられていなかった)。
ラマー・バージェスは、知りすぎてしまったダニー・ウィットワーを、ジョン・アンダートンの家で殺した。
(※このタイミングで、プリコグの内のキーとなるアガサが居なかった為、犯罪予知はできず、プリコグはラマー・バージェスの犯行を視ることができなかった。)
ジョン・アンダートンは、アガサを連れてララの元に行った。
ララは、ジョン・アンダートンの姿を確認してすぐに、ラマー・バージェスに電話を掛けて助けを求めた。
ダニー・ウィットワーを殺したばかりのラマー・バージェス、ララに「ジョンをその場に居させるように。」と指示し、「すぐに向かう」と付け加えた。
ジョン・アンダートンは、整理をし、自分がハメられた原因が「アン・ライブリーの件を知りすぎた為」と合点がいった(このとき、ララはジョンの独り言を聴いている。断片的に単語レベルで記憶に残る)。
ジョン・アンダートンとララが、屋内に居るアガサの元に行くと、アガサから「ショーンが生きていたときの未来」の話を聴く。
途中、アガサは逃げるように叫ぶも虚しく、駆けつけた犯罪予防局の面々にジョン・アンダートンは拘束され、囚人となった。
「犯罪予防システム全国化」の祝賀会の日のこと。
ララはラマー・バージェスと話していて、言動の矛盾に気付いた。
ラマー・バージェスは急ぎの予定があった為、その場ではララに「明日お宅に伺おう」と言った(※明らかに殺害目的)。
ララは、黒幕がラマー・バージェスだと気付き、囚人となっていたジョン・アンダートンを救出した。
ジョン・アンダートンは、ラマー・バージェスの悪事を祝賀会場に来ていた人々に露見させる。
知った大勢の人たちは言葉を失い、ラマー・バージェスの夫人に至っては気絶した。
ラマー・バージェスは後がなくなり、銃を持ってジョン・アンダートンを追った。
ジョン・アンダートンは祝賀会場の屋上に到着、追ってきたラマー・バージェスも到着し、2人は対峙した。
ジョン・アンダートンはラマー・バージェスに言い放った。
「僕を殺せばいい。システムの予知通り。あんたは捕まるが、システムは続く。」
「違う未来を選ぶこともできる。僕のしたように!」
ラマー・バージェスは、ジョン・アンダートンに詫びながら、発砲した。
発砲した弾丸が貫いたのは、ラマー・バージェスの胸だった。
ラマー・バージェスは自害したのだった。
間もなく犯罪予防局の局員らや、ラマー・バージェスの妻、他パーティの参加者が駆けつけてきた。
ラマー・バージェスの妻は駆け寄り、人目を憚らず泣く。
他のパーティ参加者も驚きを隠せずに居た。
ラマー・バージェス自害の一件を経て、犯罪予防システムは廃止された。
囚人らには特赦が与えられた(一部は監視下に置かれた)。
プリコグと呼ばれていた3人は、平穏な日々を過ごしている。
時が経った頃、ジョン・アンダートンとララはよりを戻していて、ララはジョンの子を身籠っているのであった。
「マイノリティ・リポート」登場人物のまとめ
ジョン・アンダートン / 演者:トム・クルーズ
本作の主人公。
犯罪予防局に勤める、役職はチーフ。
6年前に最愛の子「ショーン」を失ったことから、犯罪撲滅に傾倒する。ヤク中。
犯罪予防システムの欠陥を偶然見つけてしまったことから、ラマー・バージェスにハメられてしまう。
アガサやララの協力の甲斐あって、真実に辿り着くことができ、最終的にはララと縒りを戻して前向きな未来を手に入れた。
ラマー・バージェス / 演者:マックス・フォン・シドー
本作の黒幕。
犯罪予防局に勤める、役職は局長。
Q.「何故アン・ライブリーを殺したか?」
A.「犯罪予防システムの全国化」を叶える為に邪魔だった為、殺した。
ラマー・バージェスには、「犯罪予防システムを全国化させたい」という願望があった。
犯罪予防システムの運用には、アガサが必要不可欠だった(プリコグとしての予知能力の高さから、他では代替が利かなかった)。
アガサを手中に収めるには、母親たる「アン・ライブリー」が邪魔だった為、殺した。
因みに、真相に近づいた者も処分している。
- ダニー・ウィットワー:ジョン・アンダートンの家で、拳銃で射殺。殺害容疑は、ジョン・アンダートンになすりつけた。
- ジョン・アンダートン:犯罪予防局に捕まえさせ、囚人にした。
Q.「どうしてバレなかったか?手口は?」
A.「犯罪予防システムの欠陥を利用」し、その「犯罪予防システムの欠陥」を知っている者(ラマー・バージェスとシステム考案者であるアイリス・ハイネマンのみ)は限られる為。
具体的には、プリコグのエコー(デジャヴ)の内、重複する部分は破棄されるが、その「重複する部分」は人が目視で判断する。
その、「重複する部分」が酷似するに留まる場合、つまり「酷似しているものの、似て非なる別のもの」であっても、判断は人が目視で行っている為、「重複する部分」として破棄されてしまう。
ラマー・バージェスはそこに目をつけた。
つまり、ある日に雇った人間(仮にAとする)を用いて犯行を起こさせる。服装は黒装束、場所は湖。このときに死んだ人をBとする。方法は溺死。
その映像をラマー・バージェスは確認し、Aと全く同じ服装(黒装束)で、同じ場所(湖)
で殺したい相手(アン・ライブリー)を、同じ方法(溺死)で殺す。
すると、映像を確認した者はエコー(デジャヴ)の重複部と判断し、2つ目の方を消す(今回のケースだと、Bが死んだ映像のみ残り、アン・ライブリーが死んだ映像は消される)。
幸か不幸か、「司法省のアホ」ことダニー・ウィットワーはこのからくりに気付いた。
囚人の記憶から取り出した映像と、アガサの記憶から取り出した映像の差異に気付いたのだ。
具体的には、「さざなみの方向」、そこから「時間帯が異なる」ことに気付き、「同一のものに見せかけた別物」であることに気付いた(※気付いたが故に、ラマー・バージェスに殺される)。
ポイントに改めて言及すると、バレなかった理由は「極一部のものしか知らない犯罪予防システムの運用方法」があり、且つ「かなり巧妙に活かした」為。
ダニー・ウィットワー / 演者:コリン・ファレル
司法省の役人。
「犯罪予防システム」の欠陥を見つけようと犯罪予防局に現れ、人の欠陥(ジョンがヤク中であること)を暴く。
一時的にジョンを追う(※冤罪)も黒幕の存在に気付き、ラマー・バージェスに殺された。
因みに、一瞬”司法省のアホ”呼ばわりされる彼だが、実は下記の通りスペックは高い。
- 権力有り(司法長官の代理)
- 戦闘力有り(実力行使する部隊である「犯罪予防局員」であるジョンとほぼ互角)
- 観察力有り(①他の局員らは気付かなかったが映像内のアガサに気付く ②証拠過剰の現場に気付く(≒黒幕の存在を見破る) ③ジョンの弱み(ヤク中)に気付く)
※因みに証拠過剰の現場に気づけたのは「観察力が有ったから」のみではなく、そもそも「殺人課」への勤続経験が何年も有り、殺しの現場を見ている為。
アガサ / 演者:サマンサ・モートン
プリコグの1人であり、位置づけはキー(3人のプリコグの内、他のプリコグが居なくなるなら犯罪予防システムは機能するところ、アガサが居ないと機能しなくなる)。
母は「アン・ライブリー」、ニューロインの中毒患者で、アガサは遺伝子疾患を持つ。
ウォリー曰く「人間じゃない」、他のプリコグ2人にも言えることだが、アガサは人間的な扱いをされていない。
ジョン・アンダートンに連れ出されて、アガサは「未来」ではなく「現実」を見るようになる。
アガサはジョン・アンダートンに漏らした「もう未来なんて視たくない」、疲弊していた。
ラマー・バージェスが自害した後、犯罪予防システムは廃止、囚人たちは特赦を与えられ、一部の者は監視下に置かれた。
アガサ含めたプリコグらは、人としての生活を取り戻し、ひっそりと生活をするのであった。
エンディングでは髪も長く、人間らしかったですね。可愛らしくもあった。
あんな生活を5年以上続けたと思うと、政府は彼女らプリコグらへの対応があまりにも杜撰では?と思えて仕方がありません。
貢献度を考慮したら一層ですね…(神格化してたよなぁとも思いつつ…)。
ララ / 演者:キャスリン・モリス
時系列として、ジョンとの関係は下記の通り。
- 物語の開始時:ジョン・アンダートンの元妻(離婚後)
- 物語の終了時:ジョン・アンダートンの現妻(復縁/妊娠中)
元々、ジョン・アンダートンと別れた理由は、ジョンが亡くなった子「ショーン」と同じ匂いがするから(ショーンの死を思い出して辛いから)。
つまり、ジョンのことが嫌いになったというわけではなかった為、ジョンが冤罪により窮地に陥っていたときに積極的に助けようとしたのは合点がいく(ラマーに助けを求めてしまったが為に、犯罪予防局員らがあのタイミングで駆けつけることに繋がったわけだが…)。
下記に関してはGJだった。
- ラマーが墓穴を掘ったことに気付いたこと
- ギデオン(収容所の責任者)を脅して、ジョンを助け出すこと
目玉の所持は解ります、ジョンが拘束されたタイミングで、身の回りの所有物は箱に入れてララに渡されていたので。
ただ、「夫を助けなきゃ」→「目玉を持ってギデオンに会いに行く」って発想ができたのは凄いなぁと感心します。
一瞬「ご都合主義」とか発想が浮かびかけました(笑)…が、どこに行っても虹彩検査がある点を踏まえると、この時代の人であれば難しくない発想だったのかもしれません。
ショーン / 演者:ドミニク・スコット・ケイ
ジョンの愛息。
まだ幼い頃、ジョンとプールに遊びに行き、誘拐されている。
亡くなっている描写は厳密に言えばないものの、状況から察するに亡くなっている。
アガサ曰く、仮に生き続けられていたら23歳のときにクレアという女性と運命的な出会いをしたそうです。
プールで誘拐したやつ許すまじ。
「マイノリティ・リポート」まとめ
近代SF映画として楽しめる作品。
SF的要素の一例を挙げる。
・未来予知
・脳内のイメージをボードに投影→手で直感的に操作
・浮く車(それもオート運転)
・新聞紙に電子情報、速報も入ってくる
・網膜スキャナー
・自由に宙を飛べるバック
・嘔吐誘発棒
・空気砲
・スパイダー
・人を判別して襲ってくる花
・顔を一時的に不細工にする薬
・囚人管理システム(囚人は仮死状態)
…等が挙げられるかと思います。
この映画について会社の先輩と語り合いましたが、先輩は面白い視点で言ってました。
先輩:「私があの映画観てて面白いなと思ったのは、傘が2054年になっても今の傘のままのところです。
傘のまま(笑)
車とか変わっても、傘はあの形から、手で持つスタイルから変わらないんだなーって。」
私も映画を観ている最中は一瞬同じような所感を抱きましたが、言われて「そういえばそうだったなぁ」と思いました。
黒幕ラマー・バージェスの動機は、リアリティがあって個人的に好みです。
使った手口は、巧妙で本気で成し遂げる気があり、一層好みです。
解せないのは、詰めが甘いこと。
ララにバレたのは、ラマー・バージェスがボロを出したからです。
ララは「ジョン・アンダートンが捕まる前に、アン・ライブリーがどうとか言ってたんだよねー」という旨のことを言っていたのに対して、
ラマー・バージェスは「ええとなんだったかな…さっきの、溺死した女性の名前は…」って感じで返しちゃってますからね。
ララは「!?」「なんで溺死したって知ってるの…?」と不信感爆発しますね。笑
ラマー・バージェスはこのタイミングでララを殺すべきだった。
でも、式典の開始が1~2分後に迫ってきていて、女性が頻りにラマー・バージェスを急かしにきている。
そちらを優先したのが最後の失敗だと思います。
ララはジョン救出→以降の流れはラマー・バージェスの破滅です。
ただ、2回観て気付きましたが、そもそも「ジョン・アンダートンはもっと早くに、ラマー・バージェスが黒幕だと気づけた」ように思います。
ジョン・アンダートンがハメられて、ラマー・バージェスと電話したときの話。
ジョン・アンダートンはラマー・バージェスに「くそっ!ハメられた!」という旨をまず伝えました。
この一言に対してのラマー・バージェスの返しが明らかにおかしい。
ラマー・バージェスはジョン・アンダートンに言った、「殺されたのは誰だ?」
以降、普通にやり取りが続きますが、おかしくはないでしょうか?
ジョン・アンダートンは、状況等の説明を「ハメられた!」としか言っていなくて、具体的にどうされたのか言っていないのに、「誰かを殺した扱いにされた」ことを知っていたのです。
ここで気付けていたら、もしかすると違う未来があったのかなと、結果論ではありますが思ってしまいますね。
ダニー・ウィットワーは死なず。
ラマー・バージェスは死なず、囚人になるだけで済んだかもしれない。
ただ、ララとジョン・アンダートンの復縁もなかったかもしれない。今回の件で二人の結束が強くなったと言っても過言でないところ、それがなくなりますから。
ジョンとララが、アガサから「ショーンのもし生きていたら」の未来の話を聴くこともなかった。
犯罪予防システムの廃止もなかったかもしれない。
そう考えると一層広がって面白いですね。
ジョンとララには復縁して欲しいので、やはり元の筋書き通りが理想でしょうか。
ダニー・ウィットワーに死んでもらいたくはないので、リオ・クロウが死んだ後に気付いたことを、ラマー・バージェスに報告に行くのを防げばOKな気がします。
敢えて苦言を呈すと、折角「手口は巧妙」なのに「詰めが甘い」のは勿体なさすぎる、というところ。
ララのところも、ジョンとの電話のところもそうですが、犯罪予防システムの欠陥についても「同じ時間帯でやれば」バレなかったのはあります(さざなみの方向が違う→時間帯が違う、でバレている)。
更に言うと、アクション映画としては少し物足りないかなと思います。
最近めの、トム・クルーズ主演の他の「ミッション・インポッシブル」等と比べると個人的にはかなり思います。
SF映画としては、十二分でした。
人によっては、「人権」の観点で観ると更に楽しめるのではと思いました。
ざっと思いつく話が2つあります。
1つは、本作の途中で(司法省のアホこと)ダニー・ウィットワーも触れていますが
「犯罪を起こしていないのに、犯罪者として捕まる」こと。
確かに、一理あるなと思います。
「人を殺していないのに、殺人の罪で捕まる」わけですからね(笑)
・「殺意があり、人をナイフで刺した。刺された人は死んだ」→「殺人罪の罪を償え」:解りますね。
・「殺意があり、人をナイフで刺した。刺された人は死ななかったが、怪我をした」→「殺人未遂罪と傷害罪の罪を償え」:解りますね。
・「殺意はなく、過失により人に傷を負わせてしまった」→「過失傷害罪の罪を償え」:解りますね。
「殺意はなく、意図的に人に傷を負わせた」(頭に血が昇ってぶん殴った結果、怪我をした 等)→「傷害罪の罪を償え」:解りますね。
・「仕事中に、過失により人を殺してしまった」→「業務上過失致死傷罪の罪を償え」:解りますね。
…幾つか挙げましたが、共通して「意志」(殺意の有無)や「行動」(ナイフで指す)、「結果」(死んだ、怪我するに留まった)が明確ですね。
ダニー・ウィットワーの言っていたように、問題は「行動」と「結果」の両方ともが無いことなのかなと思います。
尤も、これは「現代」に於いては問題じゃないかなぁと思いましたが、2054年の時点では違うのかもしれませんね。
更に言及すると、これも本作で言及されていましたが「パラレルワールド」について。
つまり、「直前で思い留まったケースがあるかもしれないのに、逮捕ってどうなの?」という話です。
実際、ジョン・アンダートンやラマー・バージェスが実現しましたが、予知された未来以外を選べています。
これについては、予知の範疇を超えるので難しいなぁ(≒犯罪予防システムを擁護できない)と思いました。
スティーヴン・スピルバーグの娘の1人「ジェシカ・キャプショー」も出演しています。
「エヴァンナ」という登場人物で、犯罪予防局の局員の1人です。
エヴァンナの登場シーンで目立つのは、建物の捜査を2人で行うシーンがあります(スパイダー8つ放つシーン)が、そのときのレーダーを見つつ状況を知らせているところです。
ジョン・アンダートンが冷水に浸かってレーダーから消えたときに「猫だったのかしら」と言ったシーンは印象的です(デカ過ぎる!笑)。
色々言いましたが、満足度の非常に高いSF映画でした。
監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演はトム・クルーズの組み合わせで他の映画はないのかと調べてみたところ、「宇宙戦争」が該当しました。
宇宙戦争もその内に観ようと思いますヽ(・ω・)/